書籍「悪魔を出し抜け!」の感想

久々の読書。
以前からKindle Unlimited対象でそのうち読もうと思っていた本の一つです。恐らくは物凄く有名で定番の本だと思います。
今回は少し行き詰まってヒントが欲しくなったため読んでみることにしました。

内容は「悪魔を出し抜け」というタイトルらしく、実際に悪魔が出てきて著者と会話するものとなっております。
やや面食らう前提ですが、解説本によくある「何も知らない主人公がその道の達人や神様などと出会い、物事を対話形式で教わっていく」の悪魔バージョンのようなものと思えば飲み込みやすいのではないでしょうか。
大事なのはそれらの会話から得られる教訓なので、悪魔の存在云々に関してはあまり気にしなくていいと思います。

むしろ個人的に難点だったのは、第三者による注釈や著名人の感想などが入っていることですかね。
特に注釈は非常に頻度が高い上に、黒背景&白文字で非常に主張が強い。「読み飛ばしてもらっていい」と書いてある割にかなり目立つし、場合によってはページの半分を占領する勢いなので正直そこは読みにくかったです。

ともあれ、それを差し引いても非常に有意義な内容でした。
ざっくりと書くならば「悪魔は恐怖や誘惑などのあらゆる手段を用いて人に"流される"習慣を植え付けようとする。自発的な思考を伴わない行動を繰り返し続けると人の考える力はどんどん失われていき、やがて周囲の取り巻く環境に流されるだけの無力な人間となってしまう。何かを成し遂げたいのなら、明確な目標とそこに至るまでの計画を立てて、失敗から学び、常に思考と挑戦を繰り返す必要がある」といった感じでしょうか。

こうしてまとめるとその辺の自己啓発書にも書いてありそうな内容に見えますが、実際には悪魔がいかに巧妙な手口で人間から思考を取り上げようとしているのかが非常に細かく書かれています。もう、ありとあらゆる手段を使ってくるなぁと。
そして何よりこの文章自体が1938年に書かれているというのも凄いですね。恐らくまだ自己啓発書も広く知られていない時代で、しかもキリスト教などの、神や悪魔に対して敏感な方も多い環境での話ですから…この本が筆者の死後も長らく書籍にならなかったのも納得のいく話です。

本書は間違いなく現代にも通用する内容で、読んでいると自分にも思い当たる節がいくつもありました。
無意識的に流される習慣として分かりやすいのは、SNSやソシャゲではないでしょうか。得したい、損したくないという気持ちでつい毎日ログインしたり、頻繁にチェックしたり、そのうち特にやることも無いのになんとなくで開いてしまったり。
こうした習慣が積み重なり、自分の時間や気力がどんどん奪われている実感があったために、本書を読んだ時は「あれ?私は悪魔に出し抜かれているのでは…?」という気持ちでした。

他にも悪魔が人間から思考を奪うための強力な手段として、金銭や健康問題があると書かれています。
私はお金に関してはそんなにですが、健康については確かに結構気にしてしまいます。例えば歯の詰め物が取れた時は数時間くらい何もやる気が起きませんし、体調に不安があると物事に集中できなくなってしまいます。(そしてソシャゲetcに流される)

視点を外に向ければ、昨今のコロナなんてまさに貧困と病気の合せ技な訳です。
「最近、世の中が殺伐としている」と感じる方も多いようですが、それも無理からぬ話で、多くの人が貧困や病気に対する不安によって思考能力を奪われ、感情が不安定になったり冷静な判断が出来なくなっているということなのでしょう。たぶん。
本書の言い方を借りれば、どうやら世界はまだまだ悪魔の勢力が支配的なようです。

長々と書きましたが、私はまず目標と計画をきちんと立てる所から始めようと思います。
そしてその過程で失敗があっても諦めず、考えること、挑戦を重ねることを忘れないように…これを続けるのは中々難しいとは思いますが、悪魔の手口を予め知っていれば幾分易しくなる気がしますね。
という訳で、その日の目標を明確にするために付箋を買いました。よく見かける、モニターの縁に貼るやつをやってみようかと!